2022年9月30日
日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 髙橋淳
2022年10月1日より、一定以上の収入がある75歳以上の後期高齢者医療費窓口負担が現行の1割から2割に引き上げとなります。75歳以上人口の約20%にあたる約370万人がこの対象となります。この引き上げの理由として、「現役世代の負担軽減」、「現役世代との負担公平化」が言われていますが、2割負担の導入による現役世代1人の負担軽減額は月額60円程度(労使折半)に過ぎません。
後期高齢者医療は今年4月に保険料の引き上げがあり2008年の開始当初から比べると1.2倍に増加し、過去最高額となっています。さらに、公的年金は6月から引き下げられており、そこに物価高騰が重なっています。
こうした状況の中で医療費の2割負担は受診控えにつながる恐れがあります。「早期発見・早期治療」の遅れや病状悪化が懸念されます。また、生活困窮に追い込まれる可能性もあります。
私たち医療福祉生協は、いのちとくらしを守り健康をはぐくむ事業と運動を大きく広げるため「医療福祉生協のいのちの章典」を掲げています。その中にある「アクセスに関する権利」では、「私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように社会保障制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います。」と定めています。75歳以上の2割負担化によりこのアクセスに関する権利が大きく後退してしまうことを危惧します。
医療福祉生協連は「75歳以上の医療費窓口負担2割化」の撤回を引き続き求めていきます。
会員生協に以下のとりくみを呼びかけます。
○ 「2割化実施」の影響を把握し、具体的な事例をふまえて声を上げていきましょう。
○ これまで以上に組合員および患者・利用者の社会経済的背景に目を配りましょう。
○ 誰一人取り残されることのないよう相談機能を高めましょう。
○ 今回の施行に伴う配慮措置や高額療養費制度の周知をすすめましょう。