2021年5月13日
日本医療福祉生活協同組合連合会
代表理事会長理事 髙橋 淳
2021年5月11日衆院本会議において、一定以上の収入がある75歳以上の医療費窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案が可決されました。
現在、75歳以上の(高齢者)のうち、9割を超える約1,815万人が1割負担となっています。今回の法案により年金を含む年収が単身で200万円(夫婦2人なら320万円以上)などの条件を満たす約370万人が負担増になると見込まれており、2022年度後半から2割に引き上げられる見通しです。
政府は「現役世代の負担軽減」、「現役世代との負担公平化」を謳っていますが、「2割負担の導入によって、現役世代1人の負担軽減額は年間で300円程度(施行直後の場合)と見込まれる(2021年5月8日朝日新聞)」との報道がある通り、負担軽減や負担公平化にはなりません。
医療費が2割負担になることにより経済的な理由から受診控えにつながる恐れがあり、そのことで「早期発見・早期治療」の遅れや病状悪化による二次被害、認知症の進行などが懸念されます。また、コロナ禍で外出制限が続き、さらなる受診控えの広がりと社会参加の機会を失ったことによるフレイルの進行が問題視されています。
政府も、「2割負担の導入で受診日数が減り、75歳以上の医療費が年約900億円減少すると試算」として、受診制限になることを認めています。
私たち医療福祉生協は、いのちとくらしを守り健康をはぐくむ事業と運動を大きく広げるため「医療福祉生協のいのちの章典」を掲げています。その中にある「アクセスに関する権利」では、「私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように社会保障制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います。」と定めています。75歳以上の2割負担化によりこのアクセスに関する権利を大きく後退させてしまうことが危惧されます。
以上のことから、医療福祉生協連は「一定以上の収入がある75歳以上の医療費窓口負担2割化」の撤回を求めます。
以上